仮名と漢字の文字機能の差異について : 記憶課題による検討
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概要
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(1) 読字課題では仮名は音節文字であるために機能的にも連鎖反応が容易で,音韻の符号化も単一処理ですむために,音訓両音を持つ漢字よりも音韻の転換速度が速いことがわかった。 (2) 再認課題では音韻にのみ依存する仮名は系列的に処理されるために,文字間の弁別が難しく,意味を持つ漢字にくらべて再認が悪いことが考察された。また,同じ漢字でも意味が手がかりとして有効に働かない時は仮名と同様に再認が悪くなった。 (3) 自由再生課題ではリストの長短にかかわらず,直後再生では仮名(化)群の方が漢字群よりも良く,遅延再生では逆に漢字群よりも良くなった。これは短期の記憶では音韻情報が有効に働き,音連鎖の方略が取りやすかったのに対し,長期の記憶では逆に意味情報が有効に働いたためと考えられる。また,同じ漢字でも音韻に依存して符号化する場合と意味も同時に符号化する場合とでは結果が異なることが考察された。
- 日本教育心理学会の論文
- 1981-06-30
著者
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