就学前期における類否定課題に関する言語理解と生産の発達
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概要
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本研究の目的は,形式的課題における,否定語の理解と生産の発達を調べることである。そのために,類否定にかんして,選択課題,構成課題および言語化課題を行った。いくつかの教示(下位項目)を組合せて,被験者各人の否定および肯定の段階を定めた。また,先行経験(色・形分類または絵カードでの選択)の,課題に及ぼす影響を見た。 4∼6才児54名を対象とした。選択課題は,4枚の図形の中から「青い丸とちがうもの」や「青いものの中で丸とちがうもの」などを選択する。構成課題は,色と形を分離した材料を用いて,選択課題の下位項目に対応するものを構成する。言語化課題は,指示されたものを,選択課題の教示に対応する言葉で言語化する。 その結果,先行経験の影響はなかった。否定について,選択課題と構成課題はほぼ同じ年齢で可能で,1次元否定は4才ころ,2次元否定は5才ころ,部分補クラスは5才ころ(構成課題では6才ころ)に可能になった。それに対して言語化課題は困難で,5才ころ1次元否定ができ,6才でもそこにとどまった。肯定については,選択課題と構成課題では,2次元肯定が4才からできた。言語化課題では,1次元肯定は,4才からできたが,2次元肯定は,5,6才ころにできた。肯定の段階は否定の段階より1年ほど先行していた。 なお,別の被験者で,選択課題の材料の図形が,4枚の場合と9枚の場合とを比較したところ,難易に差はなかった。また,選択課題の材料が,図形の場合と絵カードの場合とを比較したところ,肯定についてのみ絵カードの方が困難になった。絵カードの場合は属性によって困難さが異なり複雑になるであろう。
- 日本教育心理学会の論文
- 1979-09-30
著者
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