精神薄弱児における図形系列の関係把握 : 精神薄弱児のMAの検討(2)
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概要
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1.知能発達の指標の一つであるMAが,正常児と精神薄弱児とでは,その意味内容が異なるのではないかという疑問から,この実験が計画された。すなわちSpearmanが知能の本質と考えた関係把握の能力の発達が,正常児と精神薄弱児のMA発達とどう関係しているかをみることがその目的である。2.第1実験は同時提示法により,単純な幾何図形・事物図形の系列の関係把握をみるよう計画され,この課題をMA3才〜7才(CA6才〜14才)の精神薄弱児154名を被験者に選んで実施した。その結果,MAの増加に相応して関係把握の成績も上昇する傾向が寄られたが,とくにMA4〜5才の問で加速度的な発達上の上昇がみられた。3.また,幾何図形と事物図形の両系列では正常児の場合,前者の方の解決率が,どの年令段階でも高かったのに反し,精神薄弱児の場合はMA5才からは逆に,事物図形系列の方が成績がよかった。また,その誤配列型を分析してみると,刺激図形の複雑な場合と,刺激図形が3種類とも異なる場合は,正常児・精神薄弱児とも関係把握は困難になつた。しかし,この場合でも精神薄弱児では幾何図形よりも事物図形の方が全体的に成績が良好であった。4.第2実験では被験者をMAが同一の年長群(CA12才),年少群(CA5才)に分け,また提示方法を継時提示法に改め,さらに具体的事物を刺激材料として,精神薄弱児のMAおよび知能特性を検討することを試みた。5.その結果,年長群が年少群より,やや成績がよかったこと,継時提示法の方が,同時提示法より誤りが少なかったこと,および,具体的事物が刺激材料であった方が関係把握が容易になったことが判明した。こうしたことから,精神薄弱児のMAと,正常児のMAとはその意味内容がかなり異なるのではないかという疑問はさらに深められることになった。
- 日本教育心理学会の論文
- 1966-12-31
著者
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