青年心理学における対人関係の分析
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概要
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青年心理学における対人関係の分析は, 対象(種類)を中心として, 及び方法(分析の概念)を中心として考察されるが, 前者は, いきおい記述に, 後者は説明に重点をおく。又各個々領域の対人関係を再構成することによって, 青年期対人関係の基本的特質を究明し得る。この論文は, 方法を中心とし, 対人関係全般を分析した。分析の立場及び概念を列挙すれば次の通りである。A 個人内の心理力動性の立場 対人関係の強度・深度(場理論を主として) 対人関係の動機・機制(精神分析理論を主として) B 心間心理の立場 対人関係の役割・技巧・枠組(社会心理的) 対人関係の基本的態度(特性)(性格心理的) C 日常性の立場 対人関係の性質(経験的人間学) 夫々の立場を, 青年の作文等の引例により分析し, その対人関係の背景として, 青年の生活空間の構造・独立・承認の要求・憧憬・劣等感・自己嫌悪・感激性等を考察し, これらを, 「青年性格心理学」という立場により統合しようとする試論であり, 且基本的な立場の解明を期したものである。いう迄もなく, この「説明」の立場は, 次の発達段階の記述の役割を果し, 再び止揚されるべき面をもっている。
- 1953-05-05