ヒルギダマシ植林による砂漠沿岸緑化に関する研究 : サブカに人工水路を掘り込むことによるヒルギダマシ植林とそこに形成された生物群集
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概要
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1. アラブ首長国連邦のサブカで, 沿岸につながる水路を掘り込み, その岸に沿ってヒルギダマシ苗木を植栽し, そのあと人為的な管理は行わずに放置した.苗木は活着して確実に成長しており, 5年後の平均樹高は47.9±8.9cm (S.D.), 生残率は56.7%, 植栽時からの年間成長率は10.9%であった.呼吸根の発達と, 一部ではあるが開花と種子の結実も見られた.2. 植栽した苗木の生残率は良好であるが, 植栽後8-10ヶ月間は成長を停止する.これは, 育苗期間中に根が狭いポット内で伸長して絡み合った状態になり, 植栽してから正常な横走根を発達させるまでに時間を要しているためと考えられる.3. 苗木の枯死の原因は, 虚弱な苗木, 砂による埋没, 砂嵐, 土壌流失による倒伏などであった.ヨコバイ幼虫による採食も発生したが, 短期的なものであり枯死の原因にはならなかった.4. 5年後のサブカの植林地は, 単純な環境から, 自生林の入江ほど複雑ではないが, ヒルギダマシを中心に多様な生物が生息する環境に変化した.5. 植林地の水路において, NH_4-Nの溶存量が沿岸海水よりも増加した.これは生物の摂食活動が活発に行われていることによると考えられる.デトリタス食者(腹足類, 小型甲殻類)を介してヒルギダマシと捕食者(肉食魚類, 鳥類)がつながった新たな生態系創出の兆しとみなせる.
- 2005-04-25
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