月山のアオモリトドマツ群落の変遷と生態
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概要
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東北日本の亜高山帯植生は, 冬季の豪雪と偏西風の影響で, 日本海側と内陸側では大きな相違がある.日本海側の越後山系, 出羽山系, その他の山岳では, 亜高山性針葉樹林は, 例外的な小林分を別として, ほとんど成立しないが, 奥羽山系や北上山系にはみうけられる.出羽山系の月山には東山腹の一部溶岩台地にアオモリトドマツが自生しているが, 山塊東側の念仏ヶ原湿原の花粉分析の結果, これば寒冷な後期洪積世以後, 降雪の増加とあいまって衰退していったものの遺存植生であることが明らかになった.そして, このアオモリトドマツ自生地は冬の季節風や積雪の影響がいくらか緩和される地形にある.この条件下にあって一帯は高さ1〜6mのアオモリトドマツと落葉低木の混生した叢林の相観を呈しているが, 溶岩流地形の凸部のもっとも排水良好な場所ではポドソル化土壌が出現し, アオモリトドマツの生長も比較的よく, それだけに積雪の沈下, 匍行や風による損傷樹形が著しい.これに対し, 平担地では高山湿性ポドソルが出現し, 生長は劣化して樹形は背の低い傘型を示す.このような樹形は比較的風雪の被害をまぬがれ, 更新もすこぶる良好である.もっとも排水不良の場所ではアオモリトドマツの更新はみられず, ミヤマナラ低木林となっている.このように風と雪のきびしい気候的条件のもとでは高山湿性ポドソルはアオモリトドマツの生存に有利に作用しているものと思われる.
- 1973-08-20
著者
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斎藤 員郎
Faculty Of General Education Yamagata University
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石塚 和雄
Faculty Of General Education Yamagata University
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山中 三男
Mt. Hakkoda Botanical Laboratory, Tohoku University
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山中 三男
Mt. Hakkoda Botanical Laboratory Tohoku University
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