IT革命下における市場と組織の情報文化 : 取引費用と組織化費用
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概要
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産業革命に匹敵すると言われる現在の社会経済の変化は, 何度かその呼び名を変えたものの, 最近は「IT革命」として広く世界に認識されるに至った。IT革命として様々な経済現象が知られているが, 包括的にIT革命を説明する経済理論は存在しない。本論文では, IT, 特にインターネットの特徴である掲示性, 検索, 自動化, 低コストのもたらす市場の取引費用の大幅な低下が, IT革命の経済理論であることを説明する。もう一方で, ITには, 組織の内部における情報伝達のコストを飛躍的に低下させ, 組織化費用を大幅に低下させる可能性がある。企業(もしくは経済活動を主に行う組織)の存在は市場の取引費用以下の費用で行われる取引の束と説明されるので.市場の取引費用が低下する場合, 企業はそれに応じて組織化費用を低下させなければ現状の規模を維持できない。巨額のIT投資は, 取引費用の低下に伴い組織化費用を低下させるための不可避の投資という側面がある。NPOにとって組織化費用の低下は大きな追い風であり, かつてない規模のNPOやより特殊な分野におけるNPOの組繊化と活動を可能とした。IT革命とは, 市場の取引費用の低減と組織の組織化費用低減をきっかけに, あらたな均衡への移行に伴う社会, 経済の変化である。
- 情報文化学会の論文
- 2000-11-18
著者
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