生活構造論から考察される生活情報と生活情報史観の概念について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
システム概念は構造-機能-情報の相補性を前提にして成立しているため, 生活情報, 生活機能, 生活構造の三つの概念も相互に関係していると考えられ, 生活情報の概念を, 過去に研究された生活構造や生活機能の概念を前提に点検する必要があると判断した。古典派経済学の理論を土台にして形成された社会学の一分野である生活構造論は, 社会システム論的な生活行為の解釈と共に発展していったが, 機能主義的システム論では, 行為を目的志向的に定義しているため, 生活行為は意識的なものに限定されている。この意識主義の限界を越えた生活構造の概念を理解するために, 吉田民人の生活空間の概念を援用し, 松原治郎の定義した三つの生活行為の概念を, 無意識, 環境性, 身体性を含む生活世界にまで広げる解釈を試みた。この解釈に基づき, 生活情報の三つのパターン, 生命を維持する生活行為によって生じる一次生活情報, 生活をより豊かにする行為によって生じる二次生活情報と自己のナルチシズムを充たす行為によって生じる三次生活情報に分類した。また, これらの生活情報の量的関係によって, 生活構造の歴史的形態や文化的社会的形態は決定されている。三つの生活情報のパターンによって歴史的事象が形成されている事を, つまり情報世界と事象世界の相補的な関係を, 生活情報史観として提案する。
著者
関連論文
- 主体的反省機能を持つシステム論は可能か : 自己準拠的システムから反省機能補助システムとしてのインタフェース・エージェントモデルへ(『社会・経済システム』第19号への批評)
- 阪神大震災時の心に関する生活情報の分析から
- CORPUSによる検索, 質的変動指数と信頼係数qによる口語/文語表現傾向分析方法
- 時空間的表現から因果的表現方法への移行に関する考察
- 阪神大震災で問われた情報文化の原点 : 阪神大震災時の創発型情報・住民情報の分析から
- フランス語に於けるパロールから象徴的意味・前論理的表現への過程について
- 生活構造論から考察される生活情報と生活情報史観の概念について
- 生活情報パターン移行現象と情報文化パラダイム (阪神大震災時の新聞紙面の生活情報分析2)
- フランス語表現の基盤にあるParole構造について
- 阪神大震災以後の生活情報発生の調査と生活情報構造分析
- 生活重視の思想と生活情報
- 目的(but)・afin deの表現に関する意味論的分析