遺体からみたヒシ(Trapa)の形態的諸性質と水生への適應等について
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概要
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花と茎葉には水生生活に対して適応分化が少ないのに却つて深い水中を占有しているのは果実とその胚に著しい水生生活への適応があるからの様にみえる。そこで果実の形態^<9)>とその発芽の生理^<10)>が注意されている。又果皮は木化し残り易く広く遺体としても出るので, 古生物の出現状況から過去の分布や古気候の判定資料につかわれている^<5)>。現世のヒシの果形の適応を判するのには発達の充分でない古いものと比較しないと容易に判定が出来ない。然しヒシに関係があるとみられている古生物の中にはみかけの類似でヒシと混同されているものがあるから^<8)>ヒシの適応や発達についての報告は是正しなければならない点がある。筆者は別報の如く^<9)>本邦の90ケ所から得た遺体を整理し, 16種を得, これを現世の果実と比較して現世果実の形態的諸性質と水生への適応, ヒシの発生地とその進化等につき推定し得た点の概要を報告する。
- 日本生態学会の論文
- 1953-02-25