教育実習及び事前指導前後における実習生の諸意識の様相 (<特集>教育実践)
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概要
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[はじめに] : 教育実習の期間(山口大学教育学部では、3年次後期に附属学校・園での基本実習4週間、4年次前期に公立学校での応用実習2週間)は、今日の欧米諸国の9〜18週間、かつての師範学校の8〜12週間と比べて長いものではない。限られた実習期間において、学生が教育実習に問題意識と意欲をもって臨み、実践的指導力の基本を出来るだけ多く学び取り、今後の課題を確立して大学、学部の講義・演習等により積極的に取り組むようにするためには、教育実習の事前と事後にそのための指導=学習が必要であるという認識は十数年来、全国大学の教育実習関係者の間でたかまっていた。 山口大学教育学部では昭和58年度から2年間、「教育実習検討委員会」において教育実習の問題点と改善の方向が検討され、報告書『教育実習の改善について』(昭和60年5月15日)がまとめられた。そこでは、「教育実習を大学・学部教育の一環として位置づけ・・」、「教育実習を教育研究課題の発見・把握、深化・統合をはかる体験学習の場としてとらえ、学生を指導する必要があること」、「そのために、事前指導・事後指導の充実をはかること」が提言された。それを受けて、昭和60年から2年余間にわたる「教育実習研究委員会」は、とくに教育実習事前指導の具体化をめざし、3年次前期に毎週1コマ、必修の教育実習事前指導としての授業科目「教育実践研究」の新設を中心とする報告所を提出した。このような準備期間をへて、平成3年度に試行実施した。昭和63年の教育教員免許法、平成元年の同法施行規則の改正によって、教育実習の単位には「教育実習に係る事前指導及び事後指導」の1単位を含むこととなり、平成4年度からは教育実習事前・事後指導が単位化され、本格実施されえ三年目を経過した。 教育実習事前・事後指導が所期の目標をどの程度達成しえているのか、学生において教育実習と大学・学部教育が有機的につながりえているのかについては、事前・事後指導実施計画をたて、指導を担当する側においても、いくつかの問題点を把握しており、来年度で現行実施要領5年目をむかえる段階で、諸種の調査研究をしつつ、教育実習事前・事後指導の改善構想をたてなければならない。