植民地化の時代を生き抜いて : ネイティヴ・アメリカンの女性と彼女たちが歩んだ道
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概要
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本稿は、ネイティヴ・アメリカンの女性をインディアン研究者がどのように捉えてきたのかについての変遷をたどったものである。以前から文化人類学者たちにより指摘されてきたように、ヨーロッパ人到来以前のインディアン社会においては、男は狩り、女は畑を耕すことで自らのアイデンティティを確立し、男女が共に支えあい、相互に補いあいながら日々の生活を営んできた。しかし、「デクレンション・モデル(declension model)」を唱える研究者たちは、この男女間の「相互補完性(complementarity and reciprocity)」の伝統は、ヨーロッパ人との接触、それに続く植民地化の中で崩れ去り、ヨーロッパ社会同様、インディアン女性はインディアン男性に従属することを強いられ、ヨーロッパ人によりインディアン男性が重用される一方でインディアン女性の地位は一様に低下したのだと論じた。しかしながら、現在では、より多くのインディアン研究者たちがインディアン=白人関係史をこのように単純化して捉えることの危険性に気づき、ネイティヴ・アメリカンの女性のなかに順応性や柔軟性を認め、その結果、主体性をもった様々なインディアン女性像が浮かび上がってきている。
- 同志社大学の論文
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