弔辞 眞野行生理事の逝去を悼む
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概要
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眞野行生先生は,平成16年11月7日午前9時56分,享年62歳でご逝去されました.謹んで社団法人日本リハビリテーション医学会を代表し故眞野行生先生のご霊前に心から哀悼の意を表させていただきます.昨年秋思いがけなく先生の体調がすぐれないことをお聞きしましたが,今年の夏にお話したときにはとてもお元気で,秋以降には数々の予定を組んでおられました.しかし,突然の訃報に接し,ただ呆然とするのみで誠に無念であります.実は札幌で開催された昨年の第40回日本リハビリテーション医学会学術集会を会長として成功裏に収められました頃から不調を自覚されておられたとのこと,その胸中を察するにますます悲しみがつのります.先生は,昭和43年名古屋大学医学部をご卒業され,名古屋大学第一内科の入局を経て,昭和47年より,米国はニューヨーク大学リハビリテーション医学研究所のレジデントおよびベイラー医科大学の神経学部門のレジデント,そして,メリーランド大学神経筋研究所の研究員として留学され,帰国後は,昭和53年から国立武蔵療養所神経センター(現国立精神,神経センター)にて初代理学診療科医長,疾病研究第4部研究室長としてご勤務され,昭和56年より,奈良県立医科大学神経内科学講座助教授および同附属病院中央リハビリテーション部副部長を併任されました.そして平成7年10月,北海道大学医学部リハビリテーション医学講座の初代教授に就任されて以来,北海道大学医学部附属病院リハビリテーション部部長として,また大学院医学研究科リハビリテーション医学分野教授としてご活躍されてきました.先生は電気生理学の大家で,ことに経頭蓋磁気刺激装置の日本における開発および臨床応用の研究を行い,脳の可塑性をはじめ難治性疾患に対する治療的応用の第一人者でもありました.こうした研究業績を背景に,未だ認知度の低い国立大学病院のリハビリテーション部門のモデルとして研究,教育,診療のすべての面で着実に実績を積み上げ,短期間のうちに数多くの若手の研究者を育成し,研究の裾野を広げてこられました.日本リハビリテーション医学会では昭和56年以来の評議員として,また各種委員会活動を通じてご尽力くださり,平成10年からは社団法人理事として評価,用語委員会,編集委員会,教育委員会の担当を歴任され,現在は学会の重要な課題である地方会の充実に向けて地方会等検討委員会を担当し,多大な貢献をされました.ここに先生を喪ったことで,その損失が余りにも大きいことを今更ながら実感し,落胆するとともに深く惜しむものであります.先生の残されました日本リハビリテーション医学会に対するご貢献と思い出の数々は深い感謝の念とともに決して忘れられるものではありません.先生がいつも気にかけておられたこの医学会を,さらに発展させることをお誓い申し上げ御霊の安らかならんことを祈り,生前のご尽力に対し,深い感謝の心を捧げて弔辞といたします.平成16年11月18日
- 2004-12-18