非営利組織の抬頭と社会システムの変容
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概要
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現在,先進諸国の経済社会は,急速な情報化,グローバル化,経済のソフト化等々,極めて他面的・複合的な変動の真っ只中にある。経済社会におけるこれからの現象は相互浸透しながら,今後の社会システム全体の在り方について無視し得ない根源的な問題を提起していると思われる。そこでは,社会システムの構造が何らかの形で変容しつつあることを共通認識として理解してよいが,その際,ことに1990年代以降の「非営利組織」の顕著な抬頭に瞠目した上で,変容のいわば中枢に「共」的領域の再構築を据えるという視座が要諦となる。本稿は,こうした現状に鑑みて,その抬頭の背景と概念を社会システムの側面から,析出することを通じて,現代社会における非営利組織の存立理由を解明することを目的とする。そこでまず,社会システムにおける経済領域と国民国家の関係について考察し,さらには,それを踏まえて,非営利組織の抬頭の背景を省察する。以上ふたつの予備作業を基盤に,「共」の原理を視軸に非営利組織を概念的に検討する。最後に,社会システムにおける概念的課題のフロンティアの提起を試みる。
- 日本社会情報学会の論文
- 2003-03-31