Eccentric Contraction Exercise
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概要
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筋力強化訓練の方法は種々あるが, これを大きく分類すると, 等張性収縮を応用したもの, すなわち, DeLorme の変法およびその方法, および等尺性収縮を応用した訓練に分けられる. ここでいう Eccentric Contraction (遠心性収縮) とは, 筋が収縮しているにもかかわらず, 結果として引き伸ばされている状態で, これを訓練に応用するときは最大筋力よりさらに大きい負荷をかけ, 最大筋力で収縮している筋を引き伸ばすことにより筋力強化をはかるもので, しいて上記の分類を用いるとすれば一部等尺性, 一部等張性収縮と言えないこともない. 筋力強化について今まで発表された論文を通読するうちに, 筋力強化を能率よくするためには, 最大筋力による収縮がたいせつらしいこと, 遠心性収縮は等尺性収縮や求心性収縮と比較するとき, 最も大きな筋力を出すことなどに注目し, これを訓練に応用することを考えた. まず1967年, 10名の健康者について, 予備実験として両肘, 両膝の屈筋および伸筋に8週間, 遠心性収縮を応用した訓練を行ない, その結果153%から263%の筋力の増加を認めた. ただ, 上, 下肢の周計は, 訓練前と後で有意差を認めず, 筋の肥大は, あまり起こっていないものと考えられた. この結果は1968年, Annual Report of Biomechanics Group 1967 に発表した. 次に2組の実験を行なった. 第1の実験は小指外転筋を対象とし, 健康人10名について左側に遠心性収縮を用いた訓練, 右側には, McGovern-Luscomb による漸増抵抗訓練の変法を用い6週間行なった. 筋力測定には歪ゲージを用い, 筋力および関節角度を同時に測定し, これをX-Y アナライザーに2変数として記録し, 仕事量もグラフと軸間の面積を測定することにより算出しうるようにした. 測定は遠心性収縮により両側とも10回ずつ収縮を行なわせ, 各グラフの最大筋力の最少のものを 10R.M. としたため, DeLorme らの10R.M. とは異なり高い値を示しているものと思われる. 筋力は左側229.05%±18.06,右側228.83%±15.68で有意差は認められないが, 仕事量は左側、 265.6%±26.75,右側196.7%±19.89で有意差を示した. 最大筋力を出した関節角度は0度である. 第2の実験は大腿四頭筋を対象とし, 5名について, 一側のみに訓練を行ない, Cross Education の効果を評価した. 筋力測定には大腿四頭筋用のエルゴメーターを作製し X-Y アナライザーを用いて, 前述のものと同じように記録した. この実験では牽引器を用いたため, 角度の変化は一定であり, 力積の測定が可能である. 両側の大腿四頭筋について毎週5R.M. を測定し, 右側にのみ 5R.M. に2kgを加えたものを負荷とし10回収縮を行なわせる. これが1日の訓練量である. 結果は, 力の増大は, 右側224.93%±14.25,左側220.85%±12.87,力積は右側354.81%±24.51,左側310.92%±48.02で力, 力積とも左, 右に有意差を認めたが, 非訓練側への効果もかなり大きいことを示した. 最大筋力を出した関節角度は第1週110-120度, 第2週以後では150度前後と, はっきりと変化を示し, 諸家により報告されてきたものは, 第1週のものとほぼ同じであった. 遠心性による訓練の特徴として 1 仕事量や力積の増大が漸増抵抗訓練よりも大きいこと, これは予備筋力の増大とも, 耐久力の増大とも考えられる. 2 力については漸増抵抗訓練と同じである. 3 大腿四頭筋については, 最大筋力を出す角度が変化し, 早く最大筋力に達するようになる. 4 非訓練側の強化が著しく, 臨床的に利用しうること. などがあげられる.
- 1971-04-18
著者
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