地域社会における有料老人ホームの社会的役割の変化
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概要
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わが国の就業構造変化・高齢化に対応する一つの住まい方として、有料老人ホームは平成6年7月現在、265施設、入居定員26、776人の規模に達している。有料老人ホームは高齢社会で重要な役割を果たすと予想されるが、これを地域福祉資源と結びつけて分析した研究はほとんどない。本研究では、有料老人ホームが地域で社会福祉資源として持つ価値を明らかにするとともに、今後の地域社会システムでどのような機能を持つべきかについて研究し、以下の結論を得た。1.有料老人ホームの開設地は都市に移ってきた。2.提供サービスの経年変化に関するアンケート調査結果では、サービス内容は増加傾向にある。一方収入構造から、従業員数もサービスの増加に対応して増やせないため、今後様々な経営努力が必要となる。3.こうした経営努力のうち、施設を地域に開放しサービスを外部に提供することは社会的意義がある。こうした地域と連携した形の有料老人ホームの事例調査を行い、今後の有料老人ホームのあり方についてモデルを提示した。4.このモデルでは、地域の公的施設や人的組織といった社会資源と連携して、有料老人ホームの持つ健康管理、生きが支援、在宅高齢者及びその家族の支援機能を地域に開放し、多様なサービスを地域に提供できることを示している。5.有料老人ホーム事業者にとって、こうした考え方が今後必要であるが、地域行政も、地域福祉政策を検討するにあたり、こうした民間施設を社会福祉資源として認識し、活用を考える必要がある。
- 1998-09-30
著者
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