コミュニティ情報化プロジェクトにおけるメディア・アート・プログラムの可能性
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概要
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米国において1990年代後半より社会問題以下したデジタル・デバイド問題に対し,全米各地で草の根から取り組んでいるのがCTC (Community Technology Center)である.CTCとは,情報通信機器を整備したコミュニティ・センターであり,情報通信技術へのアクセスやIT訓練などを無料あるいは安価に地域住民に提供している.現在600を超えるCTCの中には,活動にメディア・アートを導入する取り組みも登場してきた。当詳論では,シカゴ市内でメディア・アートを核とするプログラムを開発・展開して成功を収めるStreet-Level Youth Media (SLYM)の事例研究を通して,メディア・アート・プログラムの有効性について考察を試みた。メディア・アート・プログラムには,「新たな芸術形式としての情報通信技術」「チームワークと自尊心を培う学習モデル」「複合的メディア・リテラシーの習得」「オルタナティブ・メディア」「コミュニティとの対話創造」といった特性が見られる。これらは,貧困コミュニティ住民が情報弱者として固定化されてしまう危機を回避するとともに,彼らを取り巻く被抑圧的な「現実」の脱構築/再構築を目指す社会的実践をうながしていくと考えられる。結論として,日本の情報化過程の中で導入可能な側面について検討を加えた。
- 2002-09-30