ナイルデルタにおける窒素分施法および施与量がイネの収量・収量構成要素・乾物生産におよぼす影響(栽培)
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概要
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エジプト・ナイルデルタの1980年代の水稲(Oryza sativa)栽培では, 窒素施与量10gm^<-2>を約半数の農家が全量基肥, 他の半数は2回分施(基肥と幼穂形成期にそれぞれ50%)しており, 平均日射量が26MJm^<-2>d^<-1>と極めて高いにもかかわらず精籾収量は650gm^<-2>であった.そこで品種Giza 172を供試し, 窒素について分施法と施与量を組み合わせた圃場試験を実施し, 多収のための最適施与法を検討した.窒素分施法として, 移植期, 活着期(移植7日後), 減数分裂始期, 穂揃期における分施割合(%)を100-0-0-0(全量基肥区), 50-20-20-10(前期重点分施区), 25-25-25-25(均等分施区), 0-40-40-20(後期重点分施区)の4処理を, また, 窒素施与量として6, 12, 18gm^<-2>の3処理を設定した.窒素施与量18gm^<-2>, 前期重点分施区で穂数は460本m^<-2>, 籾数は47000粒m^<-2>, 登熟歩合は93%であり, 精籾収量は1120gm^<-2>と高収であった.前期重点分施区では個体群生長速度(CGR), 葉面積指数(LAI)および純同化率(NAR)は, 全期間を通じて高く推移し, とくにCGRはLAIに強く影響を受けるので, 大きなLAIを確保したことで高収を実現できたと考えられた.全量基肥区では, 生育後期の窒素不足により単位面積あたり籾数は不足し, CGRも小さく, 登熟期のLAIは急速に低下した.また, 均等分施区や後期重点分施区では, 単位面積あたり穂数不足により単位面積あたり籾数は少なく, CGR, NARも小さく登熟歩合も低く, 収量は低かった.以上の実験結果から, 本地域では窒素多施与(18gm^<-2>)の前期重点分施, すなわち基肥50%, 移植7日後20%, 減数分裂始期20%および穂揃期10%の施与により高収が可能であると結論した.
- 2005-09-05
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