現代日本における観光と地域社会 : ふるさと観光の担い手たち(<特集>観光の人類学 : 再考と展望)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
高度成長期以降の日本社会において、伝統的な文化が残る地域をノスタルジアの対象としてとらえる「ふるさと観光」が盛んになった。それを促したのは、ノスタルジアを呼び起こす「ふるさとイメージ」が全国レベルのメディアによって発信され、地域社会に押しつけられるという状況である。それに対して地元の人々はどのような対応をしてきたのだろうか。本稿では、「ふるさと観光」を担う人々の活動のなかに「押しつけられたものを自分のものにつくりかえてゆく実践」のモデルを探ることを試みる。引き受けざるをえない観光の文脈のなかで、ホスト側の人々は「学習の過程」を経て、いろいろなものを組み合わせて利用する「やりかたの技法」を獲得していく。そして、その技法をもちいて、自分が主導権をもって操作できる空間をつくり出せたとき、適切な「観光文化」を演じることが可能になり、地域社会は中央からの支配的な力の浸透に抵抗することができるようになる。このような過程を、これまでの諸研究の検討と筆者のフィールド・データの分析から明らかにしていく。
- 日本文化人類学会の論文
- 2001-06-30
著者
関連論文
- 橋本和也・佐藤幸男編, 『観光開発と文化-南からの問いかけ』, 京都, 世界思想社, 2003年2月, 244頁, 1,900円(+税)
- 現代日本における観光と地域社会 : ふるさと観光の担い手たち(観光の人類学 : 再考と展望)