都市のアボリジニにみる自己イメージ : シドニーの事例から(<特集>自己イメージと抵抗 : 採集狩猟社会を事例に)
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概要
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オーストラリア先住民(アボリジニ)といえば狩猟採集民と連想される傾向にある。しかし, 200年あまり前に始まったヨーロッパ人の進出によって, とくに大陸南東部や南西部地域では, アボリジニの生活は大きく変化してきた。今日, これらの地域では先住民は主流社会に巻き込まれ, 都市生活者となっている。かれらは, 外見や, 生活様式から他のオーストラリア人と区別することが難しいときがある。またかれらはアボリジニというアイデンティティをもっていても, 他者に受け入れられにくいこともおおい。本稿では, シドニーでの調査に基づいて, 都市のアボリジニの自己イメージを考察した。そのさい, 焦点はアボリジニであることをどう受け止めているのか, また, 都市のアボリジニであることにどのような像を抱いているのかの2点にあてた。その結果, かれらのアボリジニ像は, ヨーロッパ人を主流とする社会が提示するアボリジニ像を反映していることが明らかとなった。
- 1998-09-30