東北地方一農村における世帯の変遷, 1760-1870
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概要
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本稿は山形県天童市内の旧山家村に残る宗門改帳を使い, 江戸時代後半期の世帯を再現して, 世帯数, 世帯規模, 世帯形態の変遷を検討した。世帯数は, 1760年から1870年の間に86戸から129戸にまで増加し, 特に1850年以降の増加は顕著であった。増加した世帯のほとんどは下層階級に属し, 中層階級と上層階級の世帯数は安定していた。世帯規模に関しては, 平均5人以下から6人近くにまで上昇した。しかし, 階級間で世帯規模の動向は異なり, 下層ならびに中層階級では増加傾向を示すものの, 上層階級では減少傾向を見せている。HAMMEL and LASLETTの分類を用いた世帯形態の分析では, 単純家族世帯と複合家族世帯の割合が高く, 拡大家族世帯がこれに続いていることが明らかにされた。時系列的に見ると, 単純家族世帯の割合は下降傾向, 複合家族世帯は上昇傾向を示すが, 拡大家族世帯の割合は比較的安定していた。また, 世帯形態間の移行の基本的パターンが認められた。
- 1990-06-30