出会いと生活のテーマ : ベルベル人家族の移動について
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概要
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モロッコ南部のスース地方は, ベルベル語の-大方言タシュリヒートを話す人々の土地である。彼らの多くは国内の様々な都市に出て生活しながらも, 故郷との紐帯はしっかりと保ち続けている。私はモロッコでの2年9ケ月を, そうしたベルベル人の或る一族の人々との付き合いの中で過ごした。彼らの生活では, 主に親族関係に基づくネットワークを利用しながら, 何百キロも離れた諸都市や村の間を頻繁に移動することが常態化していて, そのことが互いの生活に重要な影響を及ぼし合っている。本稿の中心部分はそうした人々の移動や出会いの機会の叙述に充てられるが, 私の目的は, 彼らの生活上の関心が, 主に移動から生ずる様々な出来事を通してどのように表明されたのかを提示することにある。「出会い」「出来事」「生活のテーマ」が基本的視点を示すキー・ワードであり, 「出来事+対話」が方法論の支柱になる。
- 1990-03-30