農村の経済発展と女性の地位 : 日本と韓国の比較(<特集>外から見た日本)
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概要
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日韓両国共に, 産業化や経済発展は, 農村女性の生産活動への参与を増大させたと考えられている。本論では, この役割増大が伝統的な性別分業体系に及ぼす影響を, 両国の資料を中心に比較分析した。日本では, 主として, 男性世帯員の部分的離農現象により, 女性が世帯の中心的な農業経営者になるという地位向上現象が見られた。一方韓国では, 女性の世帯経済への寄与は日本と同様増大したにも拘らず, それに相応する地位向上は果たされていない。この差の原因として, 両国の農家経済構造上の違いと文化的差異を指摘し, 特に後者の重要性を強調した。すなわち, 両国の農民文化において, 男尊女卑・男女有別等に表現される儒教的規範の影響は日本に比べ韓国がはるかに強い。この違いが, 経済発展に対する両国女性の適応形態に決定的な影響を及ぼしたと主張した。
- 日本文化人類学会の論文
- 1989-12-30
著者
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