木石港3とミサトゴールデンの大麦縞萎縮病抵抗性に関する遺伝的差異

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木石港3は大麦縞萎縮病に対して抵抗性遺伝子(Ym)をもつことが知られている重要な遺伝資源である.本報では,木石港3とそれに由来する抵抗性品種ミサトゴールデンとの大麦縞萎縮病抵抗性に関する遺伝的差異を明かにするとともに,両者のもつ抵抗性遺伝子の連鎖分析を試みた.これら2品種に罹病性のColsess Iを交配し,F_2個体についてエステラーゼ同位酵素遺伝子型を調べるとともに,F_3系統における大麦縞萎縮病の発病程度を調査した.ミサトゴールデンとの組合せのF_3系統で抵抗性ホモ(RR):抵抗性/罹病性ヘテロ(RS):罹病性ホモ(SS)の分離比が1:2:1によく適合したことから,ミサトゴールデンは抵抗性遺伝子Ymをもつと考えられる.さらに,抵抗性とエステラーゼ同位酵素遺伝子型との間には高い連鎖関係が認められ,両遺伝子座間の組換価は2,45%と推定された.一方,木石港3の場合には系統の分離が1:2:1の分離比から著しく歪み,RR系統数が期待値より多く,逆にSS系統が少なくなったことから,木石港3はYmとさらに別の抵抗性遺伝子をもつと考えられる.この組合せても,抵抗性とエステラーゼ同位酵素遺伝子型との関連性が認められ,木石港3と同じ同位酵素遺伝子型を示す系統のほとんどすべてが抵抗性ホモ(RR)であった.しかし,罹病性親と同じ同位酵素遺伝子型の系統にもRRがあり,さらに,抵抗性と第4染色体の標識遺伝子である三叉芒遺伝子(K)との間にも関連性がみられた.これらのことから,木石港3は第3染色体長腕末端部に座乗するエステラーゼ同位酵素遺伝子と密接に連鎖する抵抗性遺伝子肋のほかに,第4染色体上のK遺伝子と連鎖する別の抵抗性遺伝子をもつものと推測される.
日本育種学会の論文
1991-09-01

木石港3とミサトゴールデンの大麦縞萎縮病抵抗性に関する遺伝的差異

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