米国19世紀の日曜学校図書室 : 児童図書館サービスの先駆としての意義
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概要
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日曜学校は19世紀の米国において,キリスト教宣教活動の一環として全国各地に多数設けられ,児童青少年のための図書室をそなえていた。この図書室は,児童図書館サービスの視点からは主に蔵書の内容などが批判の対象になってきた。本文では日曜学校図書室は20世紀の公共図書館における児童サービスの基礎を全国的に築いたとの観点から同時代の文献,資料,後世の研究を検討し,19世紀初頭からすでに無料,公開などの公共図書館の基本条件を備えていたのみならず,子どもにも行きやすい場にあり,利用者の年齢下限制限がなく,貸出をおこなうなど,同時代の公共図書館よりも進んだ児童中心のサービスをおこなっていたことを明らかにした。当時の児童図書の出版に質,量ともに刺激を与え,ブックリストの作製も日曜学校図書室関係者が始めた。日曜学校図書室は児童青少年一般に読書の習慣を育み,図書館の存在や役割を広く知らせ,19世紀末から20世紀初頭の公共図書館における児童図書館サービスを無理なく定着させ,急速に発展する道を開き,基盤形成をした存在として重要であり,今後さらに広い視点から再検討の必要がある,との結論に達した。
- 日本図書館情報学会の論文
- 2001-03-31
著者
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