ブラジル大豆品種のイソフラボン含量
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
豆乳や豆乳を素材とする大豆食品(豆乳ヨーグルト,豆乳アイスクリームなどのデザート類),及び植物性たんぱく製品にとって,リポキシゲテーゼによる青臭みの不快臭味に加えイソフラボン類やサポニン類などの大豆配糖体成分による苦みや収鮫性の不快味が問題となる.サポニン類による不快昧は,その大部分が胚軸に存在することから脱皮・脱肛軸による低減が可能である.イソフラボン類の大部分は子葉に存在し,抽出・加工時に蛋白質成分等と結合する傾向をもつため加工処理による不快味の低減が困難であり,育種的に低くすることが望まれる.一方,ゲニスチンなどのイソフラボン成分には抗腫瘍性など重要な薬理作用や耐虫性・抗菌性などのフィトアレキシン作用を示すことが認められており,逆に本成分を増大する育種も考えられる.これまで,大豆のイソフラボン含量には品種間差があること,また,種子の登熱が高温に経過すると種子中のイソフラボン含量が著しく低下することを認めている. 本研究では,早晩性の異なるブラジルの大豆22品種を2年間(1990年および1991年)栽培・収穫し,逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより種子のイソフラボン含量を定量分析した.イソフラボン(ダイジン,ゲニスチン)含量には大きな品種間差,及び年次間差を認めた(Table1).1990年は1991年に比べ気温,降雨量とも低く経緯し,収穫期も1O日程度遅かった.この気象差が両年のイソフラボン含量の有意な差異を生み出した(Table1)ものと考えられる.イソフラボン含量の品種間差は同一熟期に分類される品種の間にもはっきりと認められた(Table1,Fig2).大豆22品種のイソフラボン含量と豊熟期の平均温度,及び登無期間の間に有意な相関は認められなかったが,晩生品種にイソフラボン含量がやや高い傾向を認めた(Figs.2,3)."BR-36"は2年聞とも最も低いイソフラボン含量を示し,一方,耐虫性品種"IAC-100"は両年とも最も高いイソフラボン含量を示した.
- 日本育種学会の論文
- 1995-09-01