陸稲育種におけるアフリカイネの利用
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概要
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西アフリカで現在も栽培されているアフリカイネ(Oryza glaberrima Steud)は,アジアイネ(Oryza sativa L.)に比べ,様々な環境ストレスに対し巾広い抵抗性を持っており,遺伝子源として有望と言われている。イネ育種において有用な系統・品種を明らかにするために,西アフリカ稲開発協会(WARDA)では,43種類の形態的形質に注目し,1130種のアフリカイネ系統,316種のアジアイネ改良品種,および275種のアジアイネ在来品種についてスクリーニングを行った。初期生長に関する諸形質,生育期間,植物体高,穂数,耐乾性に関する諸形質,稲熱病抵抗性に関する諸形質を調べたところ,いくつかの有用な系統・品種がみつかった。現在,それらの系統・品種は,WARDAのイネ育種計画に利用されつつある。さらに,このスクリーニングの結果をふまえ,アフリカイネとアジアイネとの種間交雑を試みた。その結果,F_1世代では90%から95%が不稔であった.また,F_1雑種の多くの形質は,アフリカイネ親に類似していた。アジアイネ親への2回の戻し交雑を繰り返した結果,86%から98%の稔性が得られるようになった。また,アフリカイネから雑種後代に導入された望ましい形質には,短い生育期間,盛んな分げつ,旺盛な初期生育が含まれていた。これらの望ましい形質とともに,固定された雑種後代に対し収量試験を行い,多収性のものを選別した。
- 1997-12-01
著者
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Jones M
West Africa Rice Dev. Assoc. Bouake Civ
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Jones Monty
西アフリカ稲作開発協会
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Jones P.monty
西アフリカ稲開発協会
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Aluko Kayode
西アフリカ稲開発協会
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Mande Semon
西アフリカ稲開発協会
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