日長感応性細胞質雄性不稔コムギ系統およびF_1雑種の農業形質におよぼすAegilops crassa細胞質の影響
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概要
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Aegilops crassa細胞質はいくつかの日本コムギ品種に対し,短日条件下(14.5時間以下)では可稔であるが,長日条件下(15時間以上)では不稔となる日長感応性細胞質雄性不稔(PCMS)を引き起こす(Murai and Tsunewaki1993.1995)。このPCMSを利用することにより,雑種コムギ育成のための「二系法」が提案されている。本報では,PCMS系統およびF_1雑種におけるAe. crassa細胞質の遺伝的影響を明らかにする目的で,短日条件下の野外圃場において,5系統のPCMS系統と手交配により得られた23のF_1雑種(PCMS系統×稔性回復系統)の農業形質を,それらに対応するコムギ細胞質系統と比較した。PCMS系統ではAe. crassa細胞質の影響により,出穂期の遅れ,一穂小穂数の減少,穂先の不稔による種子稔性の低下,しわ種子の混入によるリットル重の減少と発芽率の低下が認められた(Tables 1,2,3, Fig.1,2)。しかし、PCMS系統は平均して69%の放任種子稔性があり,短日条件下における自殖による維持と増殖は可能である。一方,F_1雑種においても,Ae. crassa細胞質は種子稔性の低下をもたらした(Tab1es 4,5)。種子稔性め低下により,一穂粒数および収量は減少するが,千粒重は増加した。また,リットル重には細胞質の影響が現れなかった.PCMS系統でみられたしわ種子が,F_1雑種に認められなかったことは,Ae. crassa細胞質がF_1雑種の粒の生育(外観品質)に悪影響をおよぼさないことを示す(Fig. 3)。細胞質の影響により種子稔性が低下するにも関わらず,F_1雑種は平均して14%の中間親に対する収量ヘテロシスを示した。収量は千粒重よりも穂数および一穂粒数と強い相関があることが明らかになった(Tab1e 6)。
- 日本育種学会の論文
- 1997-12-01
著者
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Murai K
Research Institute Of Agricultural Resources Ishikawa Agricultural College
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村井 耕二
石川県農業短期大学農業資源研究所
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