イネの器官分化,生長に及ぼす放射線照射の影響に関する研究
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概要
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1)この実験は,生殖生長への移行期から減数分裂期のイネの分化と生長に与える放射線照射の影響を明らかにする目的で行なった。2)水稲品種レイメイを材料とし I.栄養生長から生殖生長への移行期,II.1次,2次枝梗の形成期,III.頴花形成期,IV.減数分裂期の4時期にX線3kR,6kRを照射した。総葉数,出穂日,致死率,節間長,分けつ数,穂構成諸器官の分化,発育数,稔実率を調査し併せて組織学的観察も行なった。3)総葉数は両線量区ともI区で増加の傾向を示した。出穂日もI区のみで遅延した。致死率は,6kR照射でII(90%)>I>III>IV(0%)となり,3kR照射では致死はほとんどあらわれなかった。稈長は,II,III,IV区でI区より強く抑制される。各節間の伸長抑制は,下位節間ほど早い時期の処理で強い抑制をうける。分けつの葉位別出現頻度は両線量区でよく類似したパターンを示し,処理時期により変化する。分けつの発生した最高葉位は,処理時期のすすむにつれ上位となり,IV区では11葉位節からも分けつの発生がみられる。
- 日本育種学会の論文
- 1974-06-29