日本海沿岸の冬季雷雲の気象学的特徴
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概要
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冬季には圏界面は高度10 km程度まで低下する. 同時に, -10℃温度層は, 地表に近い2 km或いはそれ以下の高度となり, 地表の影響で, この温度層における上昇気流速度は, 低い値に制限される. この結果, 冬季の雷雲は, 夏季とは異なった特性を示す.日本海沿岸の冬季雷は, 背丈の高いシベリア気団の海上移流が主因となり,これに前線通過による上昇気流, 低気圧収束による上昇気流等の作用が加わって発生する. 冬季雷発生時, 対流圏全体にわたるウィンドシャーは, 夏季の激しい雷雨発生時と同程度に大きい. しかし, 寒気移流の初期から, 対流雲が発生して, 不安定エネルギーの大量蓄積は行われない. このため, 移流によって次々と形成される対流雲は, 本州海岸付近で発雷するが, 組織化された激しい雷雨には発展しない.冬季雷雲は, 成熟期初期に, 正-負-正の鉛直三極構造を, 次いで正-負の鉛直二極構造をとるが,これらの期間は極めて短く, 合計で10数分程度に過ぎない. 冬季雷雲は, 雲中に正電荷だけが分布する期間が, ライフサイクル全期間の大部分を占め, その結果, 正極性落雷の発生比率が, 夏季にくらべ著しく高くなる.
- 1996-02-29
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