細胞・組織形態の遺伝変異と植物生長 : II.細胞表面積、窒素含量比と光合成能力
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概要
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単位葉面積当り光合成能力および単位葉窒素含量当り光合成能力と葉肉柵状組織の構造要因、すなわち、細胞数、細胞表面積、細胞体積および細胞間げきの関係について検討した。用いた材料は、Brassica campestrisの4系統、oleaceaの2系統、napusの4系統、合成napusの3系統、同質4倍体campestrisの1系統おび同質4倍体oleraceaの1系統である。光合成能力の測定は、Warburg検圧計を光合成測定用に改良したものを用いた。光合成測定のすんだ材料は風乾後、Tompkins(1941)らの方法によって全窒素含量を分析した。単一細胞の表面積は4πab、体積は2πb^2(a-(1/3)b)(但しa,bはそれぞれ長径短、径の半分)によって求めた。また、単位葉面積当り葉肉内細胞表面積総和は4πabに単位葉面積当り細胞数を乗じて求めた。葉肉柵状組織の構造要因として、葉肉内細胞表面積総和、窒素含量および窒素含量に対する細胞表面積の比の重要性が指摘された。すなわち、単位葉面積当り光合成能力は、葉肉内細胞表面積総和と明瞭な正の相関々係を示した。また、単位窒素含量当りの光合成能力と窒素含量に対する細胞表面積の比および窒素含量に対する葉面積の比の間にも明瞭な正の相関々係がみられた。単位葉面積当り光合成能力の高い系統は、単一細胞の大きさ、単位葉面積当り細胞数において光合成能力の低い系統を陵駕していた。細胞が大きく、細胞数が多いことは、光合成能力の高い系統の葉肉の充実度を高める結果となった。
- 日本育種学会の論文
- 1971-04-30
著者
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