稲の感温性及び感光性に関する研究 : 第3報播種期による出穂期移動について
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概要
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1)播種期の移動によって出穂期及び出穂日数がどのように変化するかを知るために,1939年より3カ年間多数の稲品種について試験が行われた。2)一般に播種期が遅延するに従って出穂期は遅れるが出穂数数は促進される。その出穂促進日数の多少及びその変化の様相によって日本の品種は2群に大別される。この2群は前報に於て感温性,感光性程度により区別された2群の品種と夫々一致する。第1群には感温性高く感光性低き品種,第2群は感温性低く感光性高き品種が属する。3)播種期による出穂期の移動は基本栄養生長性,'感温性,感光性等の大小によって支配されるから,普通栽培での品種の早晩の関係は晩播によって逆転することがある。4)災害地跡地に於ける如く特に晩播する場合には感温性の高い早生品種よりも感光性の或程度高い早生品種が出穂生理上希ましいと考えられる。従って第2群中の早生品種はかかる場合の品種選択上考慮されるべきであろう。5)外国稲にも第1群に属するものと第2群に属するものとがある。6)地理的分布をみると日本においては第1群は主として北陸以北の品種であり,第2群は関東以南のもので一ある。中国では第1群と第2群の品種が共に分布するが日本に.於ける如く両群が判然と区別されない。南方諸地域は第1群の品種のみが見出される。之等の関係は前報において感温性,感光性程度よりみた稲の分布と一致してし・る。7)以上によって播種期に.よる出穂期並びに出穂日数の移動の様相,及びそれに基く稲の品種の分布が主として稲の感温性,感光性によって左右されていることがわかった。
- 日本育種学会の論文
- 1954-05-15
著者
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