栄養要求性突然変異株を利用したヒラタケの品種間細胞融合
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヒラタケの品種間細胞融合に関する成功例はこれまで報告されていないので,雑種細胞の培養と選抜に栄養要求性の突然変異株を用いてヒラタケの品種間細胞融合株の作出を試みた. すなわち,ヒラタケの二核系統FMC235,FMC241由来の一核系統235psA,および241ss 8系統の菌糸断片をN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジンで処理することにより,それぞれメチオニンおよびウラシルを要求する突然変異株を得た.これらの変異株の培養菌糸から,ノボザイム234とキチナーゼの処理によりプロトプラストを得た.これらのプロトプラストを混合してポリニチレソグリコールで処理し,最少培地で培養することにより多数のコロニーを得た.一方,同じ株のプロトプラストのみをポリュチレングリコール処理した場合や,異たるプロトプラストを混合してもポリュチレングリコール処理をしたかったプレートてばコロニーが見られたかった.得られたコロニーを分離して一度最少培地で培養後,再分離して菌株として保存した. 得られた雑種系統を鋸屑-米糖培地で培養し,さらに低温の環境に移すことで子実体を得た・雑種系統の子実体の色は灰色でFMC241系統に近かった・一方,雑種系統の子実体の原基形成温度は比較的高くFMC235系統に近かった.このように雑種系統は両親の性質を併せ持っており,雑種であることが確認された.また,エステラーゼアイソザイムパターンも両親の特徴を備えていた.
- 日本育種学会の論文
- 1986-12-01