熱帯域におけるポテンシャル渦度に与える非断熱効果
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概要
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降水と可降水量に関連した物理過程のイニシャリゼイションを使い、観測された降雨を取り込んで、非常に高分解能の全球モデルから非断熱加熱率を精度よく求めた。(基本および加工)同化データセットを等温位面に内挿し、1992年12月1日と1995年10月4日のケースについてポテンシャル渦度方程式の詳細な解析をおこなった。ポテンシャル渦度のEltelの方程式には、ポテンシャル渦度の水平移流に加えて、非断熱加熱の鉛直と水平微分両者からの寄与と摩擦効果からの寄与が含まれている。ふつうそれらの項は10^-12kg^-1m^2s^-2Kのオーダーである。ポテンシャル渦度の局所的な収支に対する重要な寄与は次の2つによってもたらされる。(1)降水域における対流加熱の差、および(2)貿易風帯における浅い雲上端の放射冷却である。中部対流圈(325K等温位面付近)と下部対流圏(平穏な熱帯層積雲の上端の少し上-310K-と下-305K)についてこの問題を見てみると、加熱差からくる非断熱加熱効果がポテンシャル渦度の生成に著しく寄与していることがわかる。ポテンシャル渦度を保存するようなモデルを使った熱帯域の短期予報は、非常に大きな誤差成長を示すが、非断熱効果を取り込むことによってそれを減少させることができる。熱帯域における空気塊の3次元流跡線解析によると、12から24時間の間、それらの空気塊はしばしばいくつもの物理的な渦度を経ながら、ポテンシャル渦度のかなりな変化をもたらす。熱帯域では平穏な領域ばかりでなく平穏ではない多くの領域で、ポテンシャル渦度の非保存性が重要であると思われる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 2000-10-25
著者
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Krishnamurti T.n.
フロリダ州立大学
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Mohanty U
フロリダ州立大学
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Jha Bhaskar
フロリダ州立大学
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Bedi H.S.
フロリダ州立大学
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Mohanty U.C.
フロリダ州立大学
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Bedi H
フロリダ州立大学