陸域に適用可能なマイクロ波放射計降雨推定方法
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概要
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Special Sensor Microwave Imager(SSM/I)やTRMM Microwave Imager(TMI)等の多周波で二種類の偏波の測定を行うマイクロ波放射計による観測から、対流性の雲から降る強い雨と層雲から降る弱い雨を区別することは困難である。このことは、特に陸域における雨に関する情報の質を悪くしている。そこで本研究では、陸域における雨の情報を改善するために、メソスケールの平均降雨量を推定する方法を開発した。この方法は、Doneaud et al.(1984)およびLopez et al.(1989)によって示されたATI(Area-Time Integral)というコンセプトに基づいているが、実用に際しては、レーダーやレインゲージ等による地上観測を用いてチューニングを行う必要がある。本研究で開発した方法では、まず2°×3°のメソスケール・グリッド・ボックスにおいて、85GHzの散乱による減衰に基づく輝度温度のしきい値を用いて、降雨域の割合f_Rを決める。実際のSSM/Iデータの解析から、f_Rは地上の15分間のレインゲージ観測の平均降雨強度R_gと良い相関があることが示された。そこで、次にf_Rを用いて領域平均の降雨強度R_gを推定する方法を開発した。この方法の有効性を示すために、アメリカ合衆国の北東部の3つのグリッド・ボックスについてSSM/Iデータを用いて9ヶ月間の解析を行った。これらの3つのグリッド・ボックスでは、R_<fR>を用いると、レインゲージで観測された降雨強度の変動のうちの64%を説明できることが解った。これに対し、85GHz輝度温度の散乱の効果による影響をも考慮して解析を行うと、その値は55%に下がった。このように、85GHzのデータを併せて用いるよりも降雨域の割合のみを用いた方が良い結果が得られることが示された。この方法は、レインゲージ等の地上観測の替わりにTRMMレーダーを用いることにより、TMIのデータ解析にも応用可能である。
- 1999-08-25
著者
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Weinman J.a.
Nasaゴダード宇宙旅行センター
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Iacovazzi R.
Earth Resources Technology Inc.
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Iacovazzi R.
Goddard Space Flight Center
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Prabhakara C
Nasa Goddard Space Flight Center
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Prabhakara C.
Nasa
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Oki R.
Raytheon ITSS Corporation
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Weinman J.A.
東京大学気候システム研究センター
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Prabhakara C.
Nasa/goddard Space Flight Center Greenbelt
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Iacovazzi Jr
Goddard Space Flight Center
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