日本付近の年々変動シミュレーションによる地域気候モデルのテスト
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概要
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従来、地域気候モデルの評価はモデルの平均的な気候値を観測値と比較することで行われている。しかしモデルは気候値からのずれの予測に使用されるので、この種の方法で評価しても人為的気候変化に関わる偏差等をモデルがシミュレート出来ることを評価したことにはならない。本論文ではモデルが年々変動を再現できるかどうかを評価する。用いたモデルはドイツ気象局の現業数値予報モデルで、1月のシミュレーションを東アジアと日本に対して行った。モデルの範囲は5100km×5100kmで、水平解像度は56km、鉛直には20層である。ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)解析値を境界条件とした。評価にあたっては、降水量に重点を置き、3つの観測データを用いた: 気象庁のアメダスデータを含む雨量データの解析、海上の衛星情報を重視した全球降水気候値プロジェクト(GPCP)、モデルにより同化モードで作成されたECMWF再解析データ(ERA)である。個々の低気圧系の振る舞いはモデル領域の境界条件でコントロールされていることが示される。降水量は月合計値・時間発展ともに観測をよく再現している。力学上および降水量の年々変動の解析を行った。モデル誤差は年々変動の大きさに比べ十分に小さかった。気候変化予測のダウンスケーリングの手段としてこのモデルを使うことについても議論する。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1999-06-25
著者
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Luthi D.
Swiss Federal Institute Of Technology (eth)
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Fukutome S.
Swiss Federal Institute of Technology (ETH)
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Frei C.
Swiss Federal Institute of Technology (ETH)
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Schar C.
Swiss Federal Institute of Technology (ETH)