熱帯大西洋における大気海洋相互作用の10年スケール変動とブラジル北東部の降雨変動との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ブラジル北東部における降雨の多寡が対照的であった5年間、1985-89年(多雨)と1990-94年(少雨)年について、大西洋と南アメリカにおける水蒸気収支をNCEP/NCARの再解析データを使用して求めた。ブラジル北東部における5年平均降水量と大西洋における海面水温は、熱帝大西洋上で双極子(dipole)状の相関分布を示す。ブラジル北東部において多雨であった5年間では、大西洋上での蒸発が熱帯北大西洋で多く、熱帯南大西洋で少ない。蒸発量の増加は海面水温の低下を、減少は上昇をもたらす。以上が大西洋における海面水温の双極子状分布の主要なメカニズムと考えられる。ブラジル北東部の雨季(2月〜5月)には、水蒸気はブラジル北東部にむかって輸送され、そこで収束し降雨の水蒸気源となる。この下層収束はローカルな南北循環の上昇部分をなし、海面水温の双極子状分布の影響を受ける。以上のような一連の相互連関機構によって、ブラジル北東部における降雨の10年スケール変動をうまく説明することができる。
- 1999-02-25