大気海洋結合モデルにおけるアジョイント法によるデータ同化 : 単純な赤道域モデルの初期条件の決定
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概要
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大気海洋結合モデルの初期条件を、アジョイント・データ同化法によって求める一般的な問題が定式化された。特に、大気と海洋それぞれを線形浅水モデルで表現した単純な赤道域結合モデルに対して、海洋の3個の初期条件(海面温度と2個の水平流速成分)を決定することが、identical twin実験によってテストされた。(i)データの種類と密度、(ii)第一推定値、(iii)ノイズのあるデータが海洋の初期値の決定に及ぼす影響を調べるために、warm eventにおける不安定な局所的成長についての90日間のシミュレーションから得られた、風と海面温度のデータが同化された。海洋の初期値を求めるうえで、海面高度データが風データより効果的であることがわかり、海面高度の初期値は流速の初期値より正確に決定された。流速の初期値の決定はデータ、特に風データの時間密度に敏感であり、1日1回の観測が最低限必要である。海洋の状態の第一推定値には、warm eventのアノマリーの大きさや位相(位置)の誤差が含まれ得るが、データ同化は第一推定値の大きさの誤差を容易に修正するが、大きな位相の誤差についてはそうでないことがわかった。ノイズのあるデータの同化実験は、初期条件の決定が風データより海面高度データのノイズに敏感であることを示した。
- 1998-10-25