TAMEX IOP 9期間中に台湾の東岸沖で航空機により観測された梅雨前線先端部内の気流のメソスケール構造について
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概要
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TAMEX IOP期間中(1987年6月15日)に台湾の東岸沖で研究用航空機(NOAA P-3)を用いて梅雨前線の鉛直断面(6高度)観測を実施した。航空機による直接観測データと2種類の航空機搭載レーダーのデータを用いて、梅雨前線南端付近のメソスケール構造と、前線の維持機構を調べた。各高度における水平飛行中の乱流強度の急増から前線の先端の位置を決定し、前線の移動速度を考慮に入れて、前線を横切る鉛直断面内の運動学、力学及び熱力学変数の分布を合成した。これらの分布から、前線の先端部は風速の水平成分と空気密度の偏差の等値線に平行で、密度流的な構造を示すことが明らかとなった。熱力学変数の変化はさほど顕著ではないが、相当温位の分布は前線後面の下層の寒気コアの存在を示した。寒気コアは最も空気密度の大きな部分に対応していた。密度流の進行及び前線系の維持のメカニズムとして、寒気コア内における後方から前方に向かう水平気圧傾度力、前線の先端部付近における中程度の対流不安定、平均流からの運動エネルギーの変換が考えられる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1998-08-25