北西太平洋上の海面水温と台風最大強度の気候値について
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概要
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北西太平洋における31年間(1960-1990)の熱帯低気庄と月平均海面水温(SST)とのデータを用い, SSTと北西太平洋ストーム最大強度との経験的関係を求めた。さらにこの関係から, 最大ポテンシャル強度を基準にした相対強度を計算した。解析手法は, DeMaria and Kaplan (1994b)にならい, 結果を北大西洋の観測結果および理論値と比較した。これまでの研究と同様に, あるSSTに対するストーム強度の上限を求めた。大西洋上のストームに比べ, 太平洋上のストームはより暖かい海面上に観測される割合が高く, 最大ポテンシャル強度も大西洋上のストームや理論的に求められた値より大きかった。個々の台風の一生の最大強度について最大(99%)ポテンシャル強度の回帰曲線を用いて相対強度を計算すると, 平均で37%(47%)であった。このことは, 太平洋上のストームの最大強度を決める要素として, SST以外の他の環境要因がより重要であることを示している。平均相対強度は年間のシーズン後半の方がシーズン前半よりも大きい傾向があり, この点は大西洋と同様であった。年平均相対強度は経年変動を示すが, 準2年振動やエルニーニョとの相関は認められなかった。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1998-02-25
著者
-
Baik J.
Kwangju Institute Of Science And Technology
-
Paek J.
Kwangju Inst. Sci. And Technol. Kwangju Kor