貿易風下におけるマウイ渦の数値実験
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概要
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マウイ島ではハレアカラ山の風下にマウイ渦が持続的に生じて、サトウキビなど収穫の際の野焼による大気汚染が中央谷平原でより複雑なものとなる。この論文では、ある夏の一ヵ月を例にとり時間・空間に連続して時間積分した結果から、貿易風下のマウイ島の中央谷平原における大気流のclimatologyを調べた。ここでは、大規模場の客観解析によって初期値と境界値を求めて、高精度のメソスケールモデルによってシミュレーションを行った。こうして求めた結果を観測点の観測値と比較した。持続する貿易風下において、中央谷平原で渦が発生した。フルード数Fr(=U/NH、Uは一様風の大きさ、Hは障害物の高さ、Nはブラント・バイサラ周波数)が0.4よりも小さい場合でも渦の放出(vortex shedding)は起こらず、一日の時刻に関係なく形を変えずに動かなかった。しかしながら、西マウイ山をモデルから取り除くと、渦の放出が起こるようになった。マウイ渦の発生や持続およびその定常性に寄与する主な要素として、日射と、貿易風が西マウイによって曲げられて生ずる北からの加速された流れがあり、これらについて議論した。さらに野焼きに好都合な総観場の条件について提案を行った。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1996-12-25
著者
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Ueyoshi Kyozo
スクリプス海洋研究所、カリフォルニア大学
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Roads John
スクリプス海洋研究所、カリフォルニア大学
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Fujioka Francis
森林火災研究所、USDA森林局
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Stevens Duane
ハワイ大学気象学部
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Roads John
Scripps Institution Of Oceanography Ucsd La Jolla