水の物理過程が大気大循環に及ぼす影響について, PART 2
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概要
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PART 1(Miyoshi and Morita 1993)においては, 水の物理過程が大気大循環にどのような影響を与えているかについて調べた. 本研究では, 水の物理過程を, 水の放射過程と水文過程の2つに分割し, 各過程が, 大気大循環にどのような影響を与えているかについて, 大気大循環モデル(GCM)による数値実験により調べてみた. 実験結果は, 次のとうりである. 高度5km以下の温度分布, 帯状流分布は, 水の放射過程により強く影響を受ける. 子午面循環の強さ, 極向きのエネルギー輸送量, 地表からの潜熱, 顕熱フラックス, 大気中の非断熱加熱量も水の放射過程により強く影響を受ける. つまり, PART 1で得られた, 水の物理過程を排除した実験と水の物理過程を含んだ実験とでの大気大循環の違いのほとんどは, 水の放射過程による影響であることがわかった. ただし, 高度5km以上の温度分布, 帯状流は, 水の放射過程のみならず水文過程も大きく寄与していることが分かった. 鉛直1次元の放射対流平衡モデルを用いた数値実験により, 放射平衡温度を求め, GCMにより得られた温度分布と比較することにより, 力学による極向きのエネルギー輸送と水の物理過程との関係について調べてみた. 水の放射過程を排除した実験は, GCMでの地表付近の温度は, 放射対流平衡温度とほぼ同じになる. 低緯度においては, GCMの温度と放射対流平衡温度との差は, 水の放射過程を含んだ実験の方が, 水の放射過程を排除した実験より大きくなることがわかった.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1996-04-25
著者
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