安定及び不安定な力学のための近似的なデータ同化スキーム
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概要
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安定及び不安定な力学に対する, 2つの副次的な最適なデータ同化スキームが提出される. 最初のスキームである「部分的特異値分解フィルター」は, 接線形プロパゲーターの最も卓越する特異モードに基づいている. 二番目のスキームである「部分的固有分解フィルター」は, 解析誤差共分散行列の時間発展において最も卓越する固有モードに基づいている. 2つのスキームは, それぞれのモードを計算するために, ランチョス・アルゴリズムに似た反復法を用いる. これらのスキームの性能が, 不安定なビックレイ・ジェットを基本場とする, 線形浅水モデルに対して評価される. 結果は「縮小分解能フィルター」の性能と対比される. このフィルターでは, 状態ベクトルを更新するために用いられる利得が, 系の状態それ自身を時間発展させる力学ではなく, 低次元の力学から計算される. 結果は, カルマン・フィルターによって与えられる正確な結果とも対比される. これらのスキームは, 安定な力学の場合に対しても検証される. 2つの新しい近似的な同化スキームは, 計算された比較的少数のモードを用いても, 満足に振る舞うことが示される. これらの3つの低階数の近似スキームに対して, モデル化された誤差共分散の副次的部分に適合的チューニングを行うと, 性能が向上し, 用いられている近似による誤差が減少する.
- 1996-02-25