東アジアの夏季モンスーンと華南および台湾における梅雨に伴う大規模な大気循環
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概要
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1981-86年の5-6月における客観解析データ、可視および赤外雲画像、雲頂温度を用いて、アジアモンスーン域での、大規模な大気循環を研究した。流線関数、速度ポテンシャル、風の発散成分、対流インデックスと水蒸気場を解析した。これらの要素の半月平均の分布を示し、華南および台湾における梅雨入り前(5月1-15日)から梅雨明け後(6月16-30日)にいたる、大規模循環場の変化の特徴を明らかにした。さらに対流活動が活発・不活発な季節と前線を選び出し、大規模循環場の年々変動と季節の中での変動を検討した。得られた結果は以下のようにまとめられる。(1)華南および台湾における梅雨は、5月16-31日に南シナ海での夏の南西モンスーンの開始と同時に始まる。(2)深い対流域、ITCZ、および亜熱帯高気圧の北上は、華南および台湾での梅雨明け後(6月16-30日)に、梅雨前線帯が楊子江および日本付近で、準定常的な位置をとるのと同時に起こる。同時に北東インドからビルマにかけての地域で、下層の低気圧が上層の高気圧を伴う、準バロトピックなモンスーン循環システムが形成される。(3)活発な梅雨季は、北方の(傾圧的な)システムの南下と、梅雨地域での水蒸気収束が特徴的である。不活発な梅雨季ではその逆の状況となる。(4)活発と不活発な梅雨前線とでは、主に下層の循環が異なっている。活発な梅雨前線はベンガル湾および熱帯西太平洋起源の南西モンスーンを伴う一方、不活発な梅雨前線は、太平洋高気圧からの南東風または東風を伴っている。高い水蒸気量、強い水蒸気流束とその収束が、活発な前線に伴ってみられる。(5)活発な前線がより頻繁に出現する時は、活発な梅雨季となり、不活発な前線が多い時は、不活発な梅雨季となる。
- 1994-12-25