初夏のモンスーン季における中国大陸上の熱と水蒸気の収支について
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概要
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地上および上層のルーチン観測データを用いて、中国大陸における梅雨季前と梅雨季における熱収支と水蒸気収支を、1987、1988、1989年について算定した。梅雨季前における、鉛直積分した熱源>Q_1<と水蒸気シンク<Q_2>の水平分布によると、加熱の極大域は、華南地方で海岸線と平衡なバンド状に認められ、2次的極大域が、楊子江流域に見られる。梅雨季にはいると、楊子江流域での加熱が増大するが、華南でのバンド状の加熱もひきつづき起こる。1988年には、第3の加熱極大バンドが、華北地方でも認められる。梅雨季前、梅雨季ともに、海陸風・山谷風循環による降水の日変化が顕著である。夜間には降水は、内陸盆地などの低地を中心に起こり、日中には降水の極大域が、海岸と海岸に沿った山脈の間や、山風が吹きやすい地域へと移動することがわかった。熱源<Q_1>と水蒸気シンク<Q_2>の、中国大陸上の地域平均での鉛直プロファイルによれば、楊子江流域の降水は、梅雨季前、梅雨季ともに、対流性と層状性の混ざったタイプであるのに対し、華南では、厚い積雲対流が卓越していることが明らかになった。華南では、加熱と乾燥化が対流圏全層で見られたのに対し、楊子江流域では、下層での湿潤化が起こっている。華南での降水様式は、熱帯地域で観測されるものとよく類似しているのに対し、楊子江流域でのそれは、下層での蒸発が重要である、中緯度のメソスケール対流システムに類似している。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1993-02-25
著者
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Wang Zhiming
広東熱帯・海洋気象学研究所
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Johnson H.
コロラド州立大学大気科学教室
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Bresch F.
コロラド州立大学大気科学教室
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Johnson Richard
コロラド州立大学大気科学教室
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Bresch James
コロラド州立大学大気科学教室