雲水量を予報変数として取り扱ったUCLA大気大循環モデルのテスト実験
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概要
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UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校大気科学部)の大気大循環モデルを使って、雲水量(雲水および氷)を予報変数として取り扱った気候モデルをテストした。このために、簡単な雲水に関するプロセスと雲水量に依存した雲の放射特性(反射率、吸収率及び放射率)のパラメタリゼーションが組み込まれた。積雲対流からの雲水及び氷の放出が、グリッドスケールの凝結による生成とともに雲水量の生成項として取り入れられている。結果は、雲量、惑星短波反射率、外向き長波放射、そして雲水量密度について観測と比較される。現実的な氷の落下速度を用いた氷の消失プロセスは、観測に近い結果を与えた。積雲対流から放出される氷は、モデルの熱帯域に、大規模凝結による巻雲とは異なった、かなとこ雲を形成する。かなとこ雲の氷密度は、温度依存性が弱く、低い温度でも、大規模凝結による雲に比べて1桁から2桁高い氷密度を持つ。かなとこ雲は、熱帯域の対流が活発な地域に、低い外向き長波放射、高い惑星短波反射率と強い短波吸収をもたらす。積雲対流から放出された氷の昇華による湿った大気中で、大規模凝結は活発になり、対流圏上層に正味の加熱を与える。対流圏下層では、氷の昇華及び融解そして雨の蒸発によって、正味の冷却が生じる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1993-02-25