ツチマルハナバチ (Bombus terrestris) によるレンゲのトリッピングについて
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概要
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レンゲは典型的な虫媒花であり, 花が開いた状態でも雄ずい及び雌ずいは竜骨弁の中に包み込まれており, しかも柱頭が葯よりも長く突出しているので, 蜂類の訪花によるトリッピングが行われないと受粉されない.小林ら(1954)は蜜蜂が飛んできてレンゲの蜜を吸うことができるようにした自然の状態の「蜜蜂飛来区」と縦, 横, 高さがそれぞれ180cmの金網箱をレンゲの上に被覆して, 外部から全く蜜蜂が入らないようにした「蜜蜂遮断区」を設け, 蜜蜂とレンゲの採種量との関係を調べた.その結果, 10a当たりの採種量は「蜜蜂飛来区」の72.1kgにたいして「蜜蜂遮断区」は7.1kgであった.すなわち, レンゲに対して蜜蜂の訪花を妨げると採種量は90%減となり, レンゲの受粉には訪花昆虫によるトリッピングが重要であることを示した.蜜蜂は1蜂群の蜂数が非常に多いので, 小面積の場合には不向きである.そこで, 1蜂群が50〜60匹のツチマルハナバチを用いてレンゲのポリネーターとしての効果を調べたので, その結果を報告する.
- 日本作物学会の論文
- 1993-12-01