熊本映水稲についての一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.熊本水稲は,収量構成の型からみた場合,全国的には生育後期型となり,九州平均に対しては逆に生育前期型の高収量型となっている。これは九州が全般的に生育後期型の生育であるためである。このようなことから,今後は生育前期の向上はもちろんであるが,それにも増して生育後期,すなわち籾千粒当り収量の向上が望まれる。2.今後の10アール当り収量は,41年に対し約1割,最近5ヵ年の平均に対し約2割ほどの上昇が期待される。地域別には,県北および県南の伸びに対し,阿蘇および天草の伸び率が大きいものと思われる。3.県北,県南においては,生育前期および生育後期がともに向上することが望まれる。そして生育前期は主に植付株数の増加によって有効穂数の増加をはかり,生育後期は登熟歩合の上昇により,籾干粒当り収量の向上をはかるべきと思われる。4.阿蘇地帯においては,生育前期は現状維持(41年)かやや増加(最近5ヵ年平均対比)の程度として,籾千粒当り収量の大巾な向上をはかるべきである。そのため,特に今後は冷害および倒伏に対する対策が重要な問題となる。5.天草の早期作は,生育前期は現状維持(41年)とし生育後期(登熟歩合)の大巾な上昇をはかるべきである。普通作においては,生育前期および生育後期がともに上昇が望まれ,生育前期は主に1株当り有効穂数を増加し,生菅後期は,登熟歩合の向上が必要と思われる。
- 1967-06-30