箱育苗における苗の葉令促進について : 1. CO_2 富化と加温が苗の生育に及ぼす影響
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概要
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米の供給過剰に伴い, 産地間の販売競争は厳しく, 本県の農業団体は銘柄品種「加賀ひかり」を米の端境期に出荷するため, 熟期促進技術の開発を強く研究機関に求めている。水稲の生育, 成熟期を早めるには, 移植の早期化や苗の葉令を増すことが考えられる。石川県における過去の実例から, 移植期の移動と出穂期を考えると, 5月に移植した場合には, 田植を3日早めると出穂が約1日前進し, 移植苗の葉令を1葉進めると, 約3日前進する傾向が認められる。しかし, 4月下旬に移植期を早めた場合には, 一時的な低温や移植直後の強風によって植傷が生じ易く, 年により必ずしも生育は早まっていない。したがって, 移植期を5月1日前後に定め, 植付ける苗の葉令を従来の中苗(3.5葉)よりさらに進める育苗方法の検討が必要と思われた。5月初めに中苗(3.5葉苗)を植るには, 3月25日頃播種し, その後, 約35日間ビニールハウスで育てる必要がある。しかし, 4月の月平均気温は最高温が15.3℃, 最低温は4.4℃である。水稲の生長可能な限界温度は12℃前後といわれるが, 育苗期間はハウス内でもこれを上回る時間は限られており, 経験的に晴天日は午前8時頃〜午後6時頃と長いが, 曇天日は午前9時頃〜午後3時頃と極めて短い。また, 3月はさらに低温であるため, 播種期を早めて育苗日数を長くしても, 葉令促進はあまり期待できない。そこで, ハウス内の温度およびCO_2濃度を人為的に高め, 苗の葉令, 素質に及ぼす影響を検討した。
- 日本作物学会の論文
- 1982-08-01
著者
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