トウモロコシおよびトマト葉の酸性ホスファターゼ活性におよばずリン含量の影響
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概要
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植物葉組織のリン含量とホスファターゼ活性の関係を解明するために,培養液中のリン濃度を変え,(0.5,20,200 ppmP)水耕栽培をしたトウモロコシおよびトマトの上位葉と下位葉の酸性ホスファターゼ活性を測定した.両植物の茎葉部のリン含量は培養液中のリン濃度が上昇することによって増加した.しかし培養液中のリン濃度に対する両植物の反応の程度は異なった.すなわち,トウモロコシ茎葉部のリン含量は培養液中のリン濃度が20ppmPで最大となったが,トマト茎葉部リン含量は培養液のリン濃度が200ppmPでも増加しつづけた.両植物の下位葉における酸性ホスファターゼ活性の増大は,そのリン含量の減少と関係があることを示し,0.5ppmPで生育した植物でこの酵素活性が最大に達した.一方両植物の上位葉では,200ppmPで生育した場合,酸性ホスファターゼ活性は生育の進展にともなって上昇したが,0.5ppmPで生育した場合,リン含量が減少したにもかかわらず酸性ホスファターゼ活性の上昇は認められなかった.0.5ppmPで生育するトウモロコシおよびトマトに対するリン(20ppmP)添加が,葉の酸性ホスファターゼ活性とリン含量に及ぼす影響を経時的に観察した.0.5ppmP区で生育した植物にリン(20ppmP)を添加すると,それ以降両植物の下位葉における酸性ホスファターゼ活性はほぼ標準区(20ppmP)の水準にまで低下した.この酵素活性の低下はリン含量の増加をともなっていた.また0.5ppmP区へのリン(20ppmP)添加は,両植物の上位葉のリン含量を増加させ,標準区のそれに近い水準にまで至らしめたが,酸性ホスファターゼ活性を低下させることはなく,むしろ増大させたのち一定にした.これらの結果が植物葉中のリン移行との関係によって考察された.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1985-04-05
著者
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