福岡県における農業用水の水質
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概要
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1)県内の主要な用水路53地点から水稲かんがい期に延べ265回採水し水質を調査した結果,T-Nで76%が,CODで23%が農業用水基準を超えていた。2)筑後川,矢部川河川の流下に伴って,周辺用水路のEC,COD,T-P濃度は増加した。とくに筑後川下流域および矢部川下流域のクリーク地帯に入ると有機物による汚濁が著しく進行した。筑後川下流域は県内でも有機物による汚濁が最も著しい地域で,全測定値の約28%が,水稲に対して被害を及ぼすと考えられるCOD濃度(8 ppm)を超えた。3)筑後川下流域の用水路ではCOD,T-N,T-Pの濃度が,筑後川中流域の地下水ではNO_3-N,SO_4^<2->の濃度が田植時期に増加しており,代かき水の流出や水稲への施肥が一時的に用水路,地下水の水質を汚濁すると考えられる。4)福岡市近郊地域でも有機物による水質汚濁が進行していた。この地域では,用水中のT-N,T-P,Cl^-濃度とCOD濃度との間に正の相関がみられ,これらの成分濃度は生活排水に多く含まれていることから,有機物による汚濁の主な原因は生活排水と考えられる。5)遠賀川流域ではECが著しく高い用水路や貯水池がみられ,炭鉱坑内湧水が影響していると考えられる。6)平野部の貯水池では,周辺の用水路より有機物による汚濁が進行しており,また,用水のpHの平均値は7.8と高かった。7)地下水には有機物による汚濁は認められないが,T-NおよびNO_3-N濃度が周辺の用水路より高かった。
- 1991-12-05
著者
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